物流業界では喫緊の課題である「2024年問題」
ドライバー数の減少やドライバーの労働時間の制限などを背景に状況は深刻度は増しています。
それに伴い、新たな物流ネットワークとして「フィジカル・インターネット」という物流の仕組みの構築が検討されています。
フィジカルインターネットとは!?
フィジカルインターネット(以下PI)は
・Physical(物理的)
・Intaenet(インターネット)
を組み合わせた造語で、インターネット通信が回線を共有し、不特定多数での通信を実現した仕組み・考え方を物流業界に置き換えたものです。
要するに、
運送・配送トラックや物流倉庫などの物流拠点や物流事業者をインターネット回線とみなし、不特定多数の荷主がその回線を利用し、荷物を移動させる
という考え方です。
民間だけでなく国もPI実現に尽力
経済産業省および国土交通省により2021年10月6日に第一回「フィジカルインターネット実現会議」が開催され、2022年3月に「フィジカルインターネットロードマップ」が策定されました。
(参考:フィジカルインターネット実現会議「フィジカルインターネット・ロードマップ」)
このままでは約36%の荷物が運べなくなる可能性
なぜ今PIをこれだけ叫ばれ、国もその実現に向け様々動いているのでしょうか?
それは、近い将来日本国内において荷物が届かないという状況が起こりえる可能性があるからです。
日本ロジスティクスシステム協会の調査によると
2030年には日本全体で約36%の荷物が運べなくなる可能性があるそうです。
荷物が運べなくなると企業の経済活動はもちろん、一般市民である我々の生活にも影響があります。
そして地方ではその前兆が既に露見し始めてきています。
PIのメリット
一般社団法人フィジカルインターネットセンターのwebサイトでは実際の諸外国の事例が掲載されています。
事例を見てみるといずれの事例でも配送時のドライバーのリレー方式や配送拠点や配送網の共用が配送時間の短縮や積載量の増加など物流の効率化や生産性向上に寄与していることが分かります。
ただ、どの事例でもPIの最終ゴールではないとも言えます。
PIのゴールはどこになるのか!?
ではPIの最終的なゴールとはどこになるのでしょうか?
ゴールの一つになりえるのがAIとの連動・融合ではないかと考えられます。
物流インフラの共通化・共同化、AI化が進むことで、
「誰が」「何を輸送していて」「いつ」「どこに到着するか」
が明確かつ最適化されることが期待されます。
まとめ
今回は物流業界での旬のキーワード「フィジカル・インターネット」について解説させていただきました。
今までは物流事業者や倉庫事業者など物流に関わる企業ごとに持っていた物流ノウハウを並列化することが
PI成功のカギともいえます。
ただ、それにより企業オリジナルのノウハウや企業価値が相対的に低下する可能性もあります。
ただ、一つ言えることは物流企業にもITやAIの波が来ていることは確かですので、IT化は避けることができないと言えます。