国土交通省は2023年12月15日、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」の提言としてトラック事業者が荷主に対し適正運賃を求め交渉する際の指標ともいえる「標準的運賃」を平均で8%引き上げることが好ましいとの提言を公表しました。
提言として公表された内容
今回の提言は国土交通省内で2023年8月から「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、「標準的な運賃」及び「標準運送約款」について、見直しに向けて学識者の皆様を交え、議論を行いました。今般、本検討会の提言を作成・公表したものになります。
荷主等への適正な転化
<運賃水準の引き上げ幅を提示>
○ 運賃表を改定し、平均約8%の運賃引上げ
○ 原価のうちの燃料費を120 円に変更し、燃料サーチャージも120 円を基準価格に設定
<荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準を提示>
○ 待機時間料に加え、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算
○ 標準運送約款において、運送と運送以外の業務を別の章に分離し、荷主から対価を収受する旨を明記
多重下請け構造の是正等
○ 「下請け手数料」を設定
○ 荷主、運送事業者双方が運賃・料金等を記載した電子書面を交付することを明記
多様な運賃・料金設定等
○ 共同輸配送等を念頭に、「個建運賃」を設定
○ リードタイムが短い運送の際の「速達割増」や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増を設定 等
まとめ
標準的運賃制度自体は運賃交渉の参考指標として2020年4月に設けられたものです。
国土交通省の実態調査では2021年度に標準的運賃を得られた運送事業者は11%だったが、2022年度には15%までに改善した。
2022年度の運賃交渉で希望額を収受できた割合は全体の30%、一部収受できたが33%と同制度の成果が徐々に現れているといえます。
2024年問題が喫緊の課題である今、運送業界で働く人への